【河豚懐石】2010.02.19 きよみず(愛媛県松山市)   

      2月。そろそろ、河豚もお年頃になる季節。この時期の河豚のお楽しみと言えば、何はさておき白子。
 それはあたかもとろ~り柔らか目に作ったクレームブリュレのような口溶けで、穏やかな、しかしじわじわとしみ込んで来るような旨みを、油膜がぱっと広がるように拡散させ、お口の中を通り過ぎていく。後に残る香りを表現するのに、“馥郁”という言葉を思い出すのも、決して大げさな表現ではないんぢゃないかしら。

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 河豚は下関の河豚が有名だが、その下関からも河豚を食べに来るお客さんがあるというここきよみずの河豚。もちろん、下関からだけでなく、大坂からも東京からも、もっと北の雪国からも、飛行機の遅れをモノともせず、やって来る人がいる。

 「河豚はここでしか食べないの。」

 もちろんワタシも、今はそう公言してはばからない一人なのだが、ココに至るまでに、京都でも山口でも、河豚を食べた後に差し出す諭吉を数えつつ涙をこらえたこと数知れず…。そしてその度に、河豚はやっぱりきよみずやね、と確信したこと数知れず…。

 今回も期待に胸をふくらませ、では、スペシャルふぐ三昧コースでお願いします。



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 先附は筍とイカの木の芽和え。今日はこんなに寒いけど、もう春やねぇ~。

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 こちらも春を感じる前菜。中でも牡蠣しんじょうがドキドキするくらいの美味しさ。

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 お待ちかねの河豚。
 きよみずの河豚は、長浜の河豚。長浜というと、お向かいはちょうど徳山辺りなのだが、実は山口で一番美味しい河豚が獲れると言われているのも、その徳山沖なのだ。世界各地から河豚が集まって来る下関の市場は問題外として、瀬戸内のこの水域で揚がる河豚を食べさせる店が河豚の美味しい店であるというのは、実は非常に理にかなっているのだ。

 何が違うかというと、まず香り。そして身の滑らかさと粘り。口の中に長らく留まる旨み。脂が多くない分、第一印象は淡白だと思われがちだが、実はとても味のある魚なのだ。

 しみじみ、河豚は美味しい魚だと思う。

 それに対し、ワタシを泣かせた“自称”河豚は、どことなく水っぽくて身もザラザラ。これは、同じような天然トラフグでも鮮度で大きく差が出るものらしい。

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 小吸物は若竹と甘鯛。
 この甘鯛という魚も難しい魚で、ちょっと処理が悪いと水っぽくなって臭みが出る。美味しい甘鯛を食べさせるお店は、大様にして何を食べても美味しいのだ。

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 冬を代表する魚、クエの塩焼き。こちらは、淡白な身に脂がたっぷり、と、河豚とはまた趣が変わる。

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 確かに今日は河豚の日だが、それでもやっぱり“百魚王”お鯛さんもいただきたいわ。この他、城辺で揚がった宇和海のキハダマグロの赤身もいただいたのだが、「これがキハダ?」と、思わず口から出てしまうくらいに美味しかった。キハダ、侮りがたし…。

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 蛸のやわらか煮。実はこの辺りは、蛸もいいのだ。水蛸のような水っぽさのない凧で、長時間煮てもちゃんと蛸の味がする。

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 凌ぎの温寿司は、椎茸と干瓢に混じってお口の中でとろける穴子で絶品。
 
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 白子の柚子釜蒸し。やっぱり白子は美味しいね。

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 アラは唐揚げで。プリップリジューシーな河豚を堪能。やっぱりウグイスが美味。

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 河豚コースといえど、この炭火で焼いたお肉を食べないことには終われない。たっぷりの山葵でいただくが、これでもか、というくらいの山葵を載せて食べても肉の甘味の方が強く伝わって来るから不思議だ。

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 大根とカラスミのサラダ。さっぱりの中にもまったりと…。この自家製カラスミも、また美味しいのだ。天盛りはルッコラ。

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 独活とタラの芽の天麩羅は、焼くや藻塩の身も焦がしつつ…で。身体に付いた脂も一緒に燃やしたいのだが…。

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 最後に河豚雑炊で〆。ここにも河豚の身がちょろんと入っていた。

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 恒例の「シャーベットダブル」は、山葵とかりんご。山葵は読んで字のごとく、たっぷり山葵に生クリームで香り高くもマイルドな仕上がり。かりんごは、花梨と林檎を合せて“かりんご”なのだが、これも生クリームタイプで、香りづけのブランデーが、可愛らしさの中にちょっとオトナの雰囲気を醸している。

 ということで、今年も河豚が済んだ…。
 河豚を食べ終わると、そろそろ本当に春が来そうな気がして来るから不思議だわ。。。
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by barazono | 2010-02-20 21:18 | 【外食】日本料理~会席・懐石~

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