【dîner】La Carton ラ・カルトン (愛媛県西予市)   

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フランス料理を知っている人にだけ来てもらいたい…。
そんなシェフの願いからか、このラ・カルトンは国道から細い道を入って行ったところの田圃の中にある。

「街中に店を出していた時には、オードブル一品にライスで食事を済ませるお客さんが結構いたんですよ。
このままでは、ファミレス以下になってしまうと思いまして…。」

田舎でフレンチレストランを営むということ、その前に立ちはだかるなんと悲しいこの現実…。
なのでこのお店は、一見さんを避けるように、ひっそりと、完全予約制で営業している。




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内装は、派手さはないがセンス良くまとめられていて、この辺りでは稀有な、なんとなく“おふら~んす”のニホヒがする。
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テーブルセッティングもカトラリーを裏返して置くフランス流。
もともとソムリエとしてサーヴィスを学んだというシェフのこだわりが感じられる。

c0043094_1122878.jpg最初にシャンパーニュをグラスで…というテは、ここでは使えない。
ならば、とワインリストを見せてもらったのだが、リストにはフツ―のものしか挙げられていない。
シェフがソムリエということでちょっと期待していたのだが、車で来ているから飲めないワタシにはショセンカンケ―ののないことでありんすなのだが、5000円前後が中心の低価格なワインがほとんどで、ちょっと肩すかしを食ったようなキブン。
しかし、リストの中にアルザスのリースリングを発見!
これは、ドイツのものとはまた違った香りが結構かなり好みだったりする。
なので、香だけでも…と、つい、オーダー。

後から聞いた話によると、このワインリストはほんのお印で、ジツは一階部分が全部ワインセラーになっていて、ロマネ・コンティ’74をはじめ、グラン・クリュのものもかなりあるらしい…。

「この辺りで10,000円のワインを飲んでくださるお客様というのは本当に僅かしかいらっしゃらなくて…。」

さもありなん、なんたってこの辺りなのだ…。
なので、高級ワインの価格はかなりセーブされたお値段が付けられているモヨウ…。
おマチだと25~30万位の値が付くものでも、ここだと17~8万くらいでいただけるそうだ。
ワインに溺れたい諸氏は行ってみるべし!(笑)
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最初のお料理は、ホタテと香草のマリネタルタル風の上に、アワビ・サザエ・海老をトッピング。
どっしりしたフレンチドレッシングは、食べ応え十分。。。
近頃のかる~い料理に慣れていると、ちょっと、かなり重たく感じるキライが無きにしもあらずなのだが、お味は悪くない。
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パンは2種類、白パン風のものとチーズ風味のもの。
どちらも美味しく頂ける。
何より、添えられているバターが無塩バターなのだ。
ここいらのなんちゃってフレンチだと有塩バターはまだいいほうで、平気でマーガリンを出すところがほとんど。
これだけで、“ああ、このお店は本当にフレンチレストランを目指してるんだ”と実感してしまうここいらのフレンチ事情の悲しさ…。

ちなみに、パンは1人各2個づつの計4個用意してあって、残った分はお持ち帰りできる。
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スープはかぼちゃの冷たいポタージュ。
鶏のフォンがしっかり効いたサラサラ目のスープだが、ソルベ状のざらざらした冷たい塊は、スタイルなのかそれとも別の理由なのか迷うところ…(笑)
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魚料理は、ホタテのムースを甘鯛でくるんで蒸し、そこにボイルした車海老をあしらったもの。
ほろほろになったトマトが残るアメリケーヌソースと、シブレットの入ったレモンソースが添えてある。
ふわふわのムースにからむアメリケーヌソースのお味はなかなかのもの。
しかし、かなりこっくりとしたお味で量もあるため、途中で飽きてくる。
付け合わせで口が変わればもっと美味しくいただけるのに…な一品。
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普通はここでお口直しのグラニテだが、それはなくっていきなりお肉の登場。
これも、キノコのクリームソースとマデラ酒とフォン・ド・ヴォライユを合わせたソースの2種類でいただく。
牛肉には仔牛のフォンやろ!と思わないでもないが、つらつら考えるに、この辺りでそもそも仔牛の骨なんて手に入るのか?という疑問も無きにしもあらす…。
フランス料理の食材屋さんなんて、とてもあるとは思えないし(笑)
缶詰のフォン・ド・ヴォーにちょっと手を加えるよりも、誠実にとった鶏のフォンの方が美味しいに決まっているではないか。
しかし、かなりこっくりとしたお味で…以下同文。

そう、お魚の途中からず~っと思っていたことだが、ここの料理には野菜があまり登場しないのだ。
さすがに肉料理にはサラダくらいついてくるだろうと思っていたら、それも無し。
なので、1つの料理を黙々といただくことになり、結果早々に飽きて来るのだ。
これは、決して味が悪いわけではないだけに、ちょっと残念…。
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デセールはグラスの盛り合わせ。
某所でまずグラス盛り合わせ、次に3~5種類のケーキ類という、気が狂ったようないただき方(モチロン、前菜2品・お魚・お肉の後で)が常態と化していたワタシとしては、このグラスだけのデセールというのはちょっと物足りないような気もするが、お腹具合からするとちょうどいいカンジかも・・・。
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最後にコーヒー。
普通、コーヒー・紅茶どちらにします?とか聞いてくれそうなものだが、ここではそれはない。
とにかく、普通のフレンチレストランではないのだ。
こ~んな材料も満足にそろわないようなところで、その土地の食材を使って、本当のフランス料理を出そうとしている、まこと崇高な理想の下に営まれているお店なのだ。
c0043094_13282822.jpgこのお店に行くお客は、おマチのフレンチレストランへ行くような軽い気持ちで行ってはならない。
客の好みに合わせて、かなりなわがままも笑ってすんなり受け止めてくれる、そんなおマチのレストランと一緒にしてはいけない。
この辺りの極限られた材料ではあるが、出来得る限り本物に近いフレンチを、ただ誠実に供すること。
斯くも困難な課題に敢然と立ち向かうシェフに、ワタシは賞賛の拍手を送りたい。
そして、それが如何に困難であるかということは、この辺りの洋食事情をご存知の方なら、いとも簡単に想像できるだろう。
そして、シェフはフロアも厨房もたった一人で、文字通り孤軍奮闘なのである。

この辺りのフレンチ事情に半ば絶望していたワタシは、想像もしなかった形ではあるが、そのシェフの心意気に一筋の光明を見出したような気がした。
そして…、何より一番は、“この辺りでは…”とグチを言い合う同志に出会ったような気がして嬉しかったのだ。

ということで、この辺りのフレンチに悲観しておられる方、大きな心でこの辺りのフレンチをパトロネージしようという気になられた方は、必ず予約をしてから行かれて見てください。
コースは夜5000円(魚)・6000円(肉)・9000円(魚・肉)。
ワインは、リストから選ぶのではなく、ソムリエ兼のシェフに相談を。
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by barazono | 2007-08-22 23:36 | 【外食】フランス料理~日本~

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